既存デザインフェスから展開のヒントを探る

REPORT-03:東京デザイナーズウィーク2008

東京デザイナーズウィーク(Tokyo Designers Week)は 東京・明治神宮外苑を中心に、都内各所で開催されている23年目を迎える日本最大規模のデザインイベントである。今年は、ロンドン発のコンテンポラリー・インテリアのトレードショー「100%Design Tokyo」ジャンルを拡大した他、コンテナ展「CONTAINER DESIGNING TOWN」、学生展「100%futures」などがレベルアップされて開催された。

「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2008」は、「デザインを五感で楽しむ」をコンセプトに2007年からはじまった東京ミッドタウンが実施しているデザインイベント。2回めとなる今年のテーマは「ジャパンデザインを楽しむ」。一流デザイナーの作品を対象としたオークションや、トップクリエイターによるセミナー「DESIGN TOUCH Conference」をはじめ、インテリア&デザインショップによるものづくりの実演「MONODUKURI LIVE」が行われた。

REPORT-03では、仙台市経済局産業振興課産業振興係の大浦健志係長と遠藤陽子主事が10月30日に両展を訪れ視察した内容を紹介する。

1.各会場の概要

(1)メイン会場:明治神宮外苑
明治神宮外苑絵画館前会場においては、テントを3か所に設置し、それぞれ100%designtokyo、100%futures、BLICK FANG 08を開催。また、複数の貨物用コンテナ内で各企業、大学、団体が空間プレゼンテーションを行うコンテナグラウンド、FM局JWAVEによるカフェが設置されていた。
100%designtokyoでは、インテリアをはじめ広く生活の中にあるデザインを展示しており、各地のバイヤーとのトレードショーが行われていた。一部、照明や建材・素材など分野を特化したエリアや実行委員会の推薦を受けた著名デザイナーの作品が展示されるコーナー、即売を目的としたコーナーもあった。100%futuresでは、企業と学校がチームを結成し、トップデザイナー監修の下でひとつのデザインを創造する産学協同プロジェクト作品展示、学生のビジネスチャンス創出の場としての学生作品展が行われていた。BLICK FANG 08では、ヨーロッパのデザイン最新トレンドを体験することを目的として、家具や被服、雑貨等の展示が行われていた。
テントでの展示は、公募及び一部有料(100%プロフェッショナル)であり、出展料も124,200円から294,000円と幅広い。
(2)ZERO EXHIBITION会場:赤坂アークヒルズカラヤン広場
赤坂アークヒルズ カラヤン広場内のZERO EXHIBITION会場では、40歳以下の若手インテリアデザイナーの作品が展示されていた。作品は公募制で出展料が88,500円。Tokyo Design Premio賞を受賞すると、主催者からミラノ又はロンドンのデザインイベント出展を招待される。
(3)SHOP EXHIBITION会場(桐の花)
赤坂アークヒルズ カラヤン広場内のZERO EXHIBITION会場では、40歳以下の若手インテリアデザイナーの作品が展示されていた。作品は公募制で出展料が88,500円。Tokyo Design Premio賞を受賞すると、主催者からミラノ又はロンドンのデザインイベント出展を招待される。

2.実施状況

(1)メイン会場:明治神宮外苑
視察日は、平日の日中であったがデザイナーズウィーク初日だったこともあり、ビジネスマン風の方や、学生、また外国人の来訪者や出展者も数多くいた。テント内では、人気のあるブースや食事エリア(REGZA BAR)に多くの来訪者が集まり、展示者からの説明を受けたり、休憩したりしていた。
また、今年度から、各ブース内にQRコードを設置することとしており、オフィシャルサイトとの連動による、展示や出展者情報の発信、また来訪者が気に入ったブランド、ショップをお気に入り登録したり、最新情報確認などが可能となっていた。
コンテナグラウンドでは、人気のコンテナでは来訪者の動線が多少混雑しているところもあったが、出展者によるコンテナ入り口での誘導により、それほどの混雑なく見学することができた。CHINTAIとファッション誌読者モデルのコラボレーション展示や、東京ガスによる「ガスによる新たな建築」の提案、日蓮宗による仏教デザインの展示コンテナもあった。
各テントやコンテナを視察し、大学と企業の連携展示が多いこと、上記CHINTAIや日蓮宗の展示のように、デザインを主体として様々な団体の作品が展示されている印象があった。
(2)SHOP EXHIBITION会場:赤坂アークヒルズカラヤン広場
展示エリアには45名の若手デザイナーの作品展示が行われており、当日は晴天だったが雨天時には、上方に屋根がかかる半屋外の展示場となっている。
また、展示者が随時説明をしている様子はなかったが、来訪者が作品に触れることも可能であり、また作品の前にメモ帳を設置し、来訪者の感想を記入できるようになっていた。
  • 東京デザイナーズウィーク2008
    入場口
  • 東京デザイナーズウィーク2008
    メイン会場入場口
  • 東京デザイナーズウィーク2008
    コンテナでの展示風景
  • 東京デザイナーズウィーク2008
    カフェ風景
(3)SHOP EXHIBITION会場(桐の花)
視察をしたアトリエショップ「桐の花」では、東京デザイナーズウィークにあわせて、新作のドレスを製作し、店内に展示していた。
上記店舗の東京デザイナーズウィークのショップエキシビジョン出展経緯は、デザイナーズウィーク事務局から出展についての誘いがあったためとのことで、各出展店では、デザイナーズウィークのフラッグが掲げられ、イベントのショーデザインを手がけたマイケル・ヤングデザインのボタンが配布されていた。
なお、ショップエキシビジョン出展店の地図や情報は、東京デザイナーズウィークのオフィシャルブックレットにも掲載されており、本会場来訪者がショップへ誘導できる仕組みとなっていた。
  • 東京デザイナーズウィーク2008
    会場(カラヤン広場)
  • 東京デザイナーズウィーク2008
    展示状況
  • 東京デザイナーズウィーク2008
    展示状況
東京デザイナーズウィーク2008データ
メイン会場:明治神宮外苑:ZERO EXHIBISION会場:赤坂アークヒルズカラヤン広場
開催期間:2008年10月30日(木)~11月3日(月・祝)
主催:特定非営利活動法人デザインアソシエーション
公式サイト:http://www.design-channel.jp/pubTDWGeneralInformation.do

REPORT-03:Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2008

1.各会場の概要(視察イベントのみ)

(1)グッドデザインエキシビジョン2008
ミッドタウン・タワー5階デザインハブ内において、グッドデザイン賞の特別展受賞作など最新のデザインアイテム約70点を展示。また、10月10日から11月4日にかけて、グッドデザイン賞審査委員による審査講評会も開催される。
(2)INADA Stone exhibition東京ミッドタウン展vol.2
日本を代表するグラフィックデザイナーと稲田みかげ石のコラボレーション作品展を実施。畠山敏氏作品等を視察。

2.実施体制

(1)グッドデザインエキシビジョン2008
文房具や複合機、テレビ、バイクなどの現物展示のほか、自動車や家の模型が展示され、一部を除いて、実際に手に触れることができるようになっていた。11月6日にグッドデザイン大賞が発表されることから、視察時点では、 身体・生活領域、産業・社会領域、移動・ネットワーク領域、新領域の各商品の展示が行われていたのみであるが、興味深く見ている来訪者も多かった。
(2)INADA Stone exhibition東京ミッドタウン展vol.2
ミッドタウンガーデン乃木坂駅側開催されていたで、稲田みかげ石の匠とデザイナー達のコラボレーション展「INADA Stone exhibition東京ミッドタウン展vol.2」は、屋外での展示であり、また展示パネルはあるものの展示者による解説などが行われていなかったことから、親子連れでの来訪者が自由に見学をしている雰囲気があった。。
  • グッドデザインエキシビジョン2008
    展示の様子
  • グッドデザインエキシビジョン2008
    展示の様子(畠山氏)
Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2008データ
会場:東京ミッドタウン
開催期間:2008年10月23日(火)~11月3日(月・祝)
主催:東京ミッドタウン
公式サイト:http://www.tokyo-midtown.com/jp/designtouch/2008/index.html

3.所感

東京デザイナーズウィーク及び東京デザインタッチ2008が開催されている10月30日から11月3日までは、都内各地でデザイン関連イベントが開催されていた。特に、東京デザイナーズウィークでは、ショップエキシビジョンとして、都内各地のショップ、カフェ等でデザイン関連イベントの実施やメニューの提供が行われ、デザインイベントの広がりを印象付けている。また、上記期間のみ、マガジンハウス社のCASA BRUTUSがフリーマガジンを日刊で発行するなど、企業やマスコミとの連携も強い印象を持った。

東京デザイナーズウィーク展示ブースにおいては、トップデザイナーの展示以外は、トレードショーの印象が強く、展示や建材、フリーデザイナーとインハウスデザイナーの展示など、即売やプロモーションが前面に出た展示となっていた。また、学生の展示においても、企業と学生の産学協同プロジェクトがあるなど、プロモーションや産業化という目的でほぼ統一された展示と感じた。

しかし一方で、食器やアクセサリー、被服など一般市民が見てもわかりやすいもの、手にとったり購入しやすいものの展示も多く、企業だけに向けた見本市ではなく、一般に開かれた見本市という印象だった。

(2008.10.30 仙台市経済局産業振興課産業振興係主事 遠藤陽子)