未来志向型の都市型フェスティバルというコンセプトについて

参加メンバー:柿崎、國永、田中舘
オブザーバー:鈴木健人(UN.Co)

エレクトロ・ミュージックとメディア・アート分野に絞ったクリエイティブ関連都市型フェスティバルとする。クリエイティブな都市とはその創造性によって人が集まり、経済システムが動いていく都市を指す。そこで、仙台が潜在的に持っているインタンジブルなクリエイティブ関連資産について考えてみる。しかも、現状肯定というよりむしろ、未来志向の萌芽を孕むものということで議論した。

まずは音楽の話題から。音楽に関するイベントは仙台市でも全国的に認知されている「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」「荒吐ロックフェスティバル」などが行われている。それ以外の音楽については仙台市はどうなのかということで、國永氏より仙台のハウスミュージックを中心としたクラブ・カルチャーについての概要と活動の報告を受けた。

その結果、海外も含めた多数の有力なアーティスト、DJ が仙台を訪れ、時によっては毎年プレイしている現状であり、現在のところ一部の人々しか認知度はないがクラブ・カルチャーと呼ばれる都市文化として仙台市にも定着していることが理解された。また、エレクトロ・ミュージックに関しては、仙台から世界的に活躍するアーティスト、DJが輩出され、海外のクラブから出演の依頼も多数あるとのことであり、都市のインタンジブルな可能性としてフェス展開への期待を抱かせた。

次にアートについての議論を行った。一般的に言われるアートやデザインに関しては既に各種イベントが行われている現状がまずある。では、未来志向で考えた場合どうなのか。やはり技術の進歩に伴い常に変わっていくアートとしてのメディア・アートではないのかと。メディア・アート自体の認知度は決して高くはないが、メディア・アートの中でも人間に親和性の高いインタラクティブな作品やインスタレーションは着実に人々のライフスタイルの中に入り込むまでに至っていることが田中舘氏より報告され、エレクトロ・ミュージックとの親和性とビジュアル・デザインの一つの柱として取り上げる価値があるとの意見で一致した。

更に、クラブ・ミュージックの中でエレクトロ・ミュージック、アートの中でメディア・アートを取り上げるのは、双方ともテクノロジーの進歩と共に姿を変えていくという特性を持つからである。当研究会が想定している都市型フェスティバルは継続型なので、継続性を担保するものとしてテクノロジーを根底に置いている。そして、テクノロジーにはそれをもたらす研究機関やメーカーがあり、そのプロモーションの場としての機能も持つのである。

また、今回オブザーバーとして参加した鈴木氏からは、仙台市が東北大学という世界最先端の研究を行っている教育機関が立地する他、宮城大学等個性的な研究を行う大学との連携を活かしていく方向性が提示され、クリエイティブな表現を支える最新テクノロジーについても注目を集めるフェスティバルとしての可能性も議論した。

また、実際開催となった場合に、これまでの実績から仙台に呼べる可能性が最も高いエレクトロ・ミュージックのアーティスト、DJ について國永氏より報告も行われた。7/28 現在で海外も含め15 アーティストが確実な候補として上げられた。メディア・アート分野のアーティストについては今後候補者のリストアップを進めていく予定。

STUDY-01 キックオフ・ミーティング(2008.7.28)