かのコロンブスは、イタリアのジェノヴァ出身で方言を母語としつつポルトガルの女性と結婚したが、ポルトガル語とスペイン語の入り交じった言葉で過ごし、完全には使えないいくつかの言葉を使いながら生き、新大陸に到達したという。彼は完璧な英雄ではなく、創造力と柔軟なコミュニケーション力を持ったパイオニアだったのだ。

「occur2010 摩磋 -massage-」、摩擦の「摩」と切磋琢磨の「磋」で「マッサ」。視覚的にも聴覚的にも何やら存在しそうな言葉であるが、これは造語である。それでもなお私たちは、この意味がわかるような気がするだろう。正しくはないが、意味が通じる言葉。今日、私たちは、快楽をもたらすだけのマッサージと、どこまでも過剰に増大する情報をメディアに求め、溺れている。「摩磋」とは、そんな今日のメディアの海で新大陸を見つけるために、視覚と聴覚、そして私たちの創造力をもみほぐし、磨き上げるキーワードである。

アーティスト

  • スプツニ子(Sputniko!)
  • 1985年東京生まれ、ロンドンおよび東京在住。
    2009年にメディアアートの世界的祭典アルスエレクトロニカで[the next idea]を受賞。ローリー・アンダーソンの音楽やダナ・ハラウェイの理論に影響をうける。ジェンダーやテクノロジー・ポップカルチャーをテーマにした作品を中心に制作。楽曲の作詞・作曲や作品に登場する「生理マシーン」などのデバイスもプログラミングから制作まで全て自身が行っている。映像はWeb上で協力者を募集し、それらで集まった監督・スタッフとで制作し、2010年世代のメディア・アーティストと呼ばれる。
  • http://www.sputniko.com/
  • 渡辺圭介(w-lab)
  • 宮崎県出身。九州芸術工科大学(現九州大学)芸術工学研究院修了。現在、東北生活文化大学講師。コンピュータを表現手段とし、メディアアート、インスタレーション、映像、立体、ソフトウェア開発など多岐に渡る領域で活動する。2003, 2004 Asia Digital Art Award インタラクティブ部門入選。2004, 2005 文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員推薦作品入選など。
  • http://overflowy.info/
  • SHIMURABROS.
  • ユカ&ケンタロウによる姉弟ユニット。英国 セントラル・セント・マーチンズ 大学院 映画・舞台芸術学部卒業。新たな映像装置の発明によって既存の枠をこえたイメージの実体化を企てる。カンヌ及びベルリン国際映画祭での上映をはじめ、ロンドン、パリ、プラハ、ウィーンなど、国外にも作品発表の場を広げている。
  • http://www.shimurabros.com/
  • Open Reel Ensemble
  • メンバー:吉田悠(Per&Reel)/和田永(Reel&Key&MC)/佐藤公俊(Reel&MC)/難波卓己(Reel&MC&Vlin)/吉田匡(Ba)
    2009年より、和田永を中心に現役大学生である佐藤公俊、吉田悠、難波卓己、吉田匡(Bass)が集まり活動を開始。旧式のオープンリール式磁気録音機を現代のコンピュータとドッキングさせ、「楽器」として演奏するグループ「Open Reel Ensemble」。蒸気フィルムで撮った映画に生楽器と電子楽器で音楽をつける音団「蒸気青月楽団」。和田永個人としては、パフォーマンス作品「Braun Tube Jazz Band」で第13回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞を受賞し2010年秋、Linzにて開催された「アルスエレクトロニカ」他ドイツ、トルコの公演に招聘された。
  • http://crabfeet.blogspot.com/
  • タナカカツキ
  • 1966年大阪うまれ。
    1985年マンガ家としてデビュー
    著書には『バカドリル』『オッス!トン子ちゃん』など
  • http://www.kaerucafe.com/
  • 池田 晶紀
  • 横浜生まれ。東京都在住。
    1999年自ら運営していた「ドラックアウトスタジオ」で個展を中心に活動を始める。2003年よりポートレート・シリーズ『休日の写真館』で写真家としての創作、個展での発表。(現代美術製作所、東京都写真美術館ほか国内外で活動中)2006年、代々木に個人スタジオ「ゆかい」を設立。2010年6月にスタジオを馬喰町へ移転し、オルタナティブスペースを併設。再び「ドラックアウトスタジオ」の名で運営を開始する。親しみやすい性格とコミュニケーション能力が反映された写真作品は昨今注目を集め、展覧会以外にも、雑誌・書籍・広告で分野を問わず活躍。アーティスト三田村光土里とのアートユニット「池田みどり」としても活動。また、コミックバンド「ゆかい」としてライブ活動も行っている。
  • http://yukaistudio.com

プログラム

常設展

会期中(12月10日〜23日)、会場のTRUNKに3つの展示を常設します。入場無料。 平日:10:00-20:00、土日祝:10:00-18:00。
・12月10日(初日)は18:00-22:00
・月曜日:機器メンテナンスのためお休み

DOTMOV
世界中の未知なる才能発掘と作品紹介の機会創出を目的に開催されるデジタル・フィルム・フェスティバル「DOTMOV FESTIVAL 2010」の仙台巡回展。世界26カ国から集まった237作品の中から選ばれた11の優秀作品を上映。
http://www.shift.jp.org/mov/
FesLab selection
FesLab がセレクトした東北・仙台のクリエイターの映像作品を上映。「むつデジタル映像フェスティバル」への出展作品や東北芸術工科大学の学生作品、仙台市内の映像作家による作品など多数。
SHIMURABROS. in room 35
第13回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した姉妹アートユニット・SHIMURABROS.のコンセプトルームをTRUNK35号室に設置。
※EICON BOXの展示は12月10日〜12月23日。EICONの展示は12月13日からになります。

↓ 会場のTRUNKについて

週末企画

各週の金曜・土曜と最終日の祝日に行うイベントです。参加無料

[opening live & talk]スプツニ子(Sputniko! )
-あんたの地球観、根底からもんでやるわ!
サイボーグ、ジェンダー、ポップカルチャーなどをテーマに音楽・デバイス・映像作品を発表する話題のアーティスト・スプツニ子をゲストに招いたオープニングトークと、第8回・第9回文化庁メディア芸術祭審査委員推薦作品に選ばれたTRUNK 会員w-lab(東北生活文化大学)のライブを開催。
・日時:12月10日(金)18時~21時
・出演:スプツニ子(Sputniko!)、w-lab(東北生活文化大学)
[workshop]When Planets Meet
Googleのプロジェクトで月面探査機を開発しているWhite Label Space Japan, LLCの東北大学研究チームのNathan Britton研究員も加わって、「月で実現したいアート」を参加者とともに考えるワークショップ。
・日時:12月11日(土)13時~16時
・出演:スプツニ子(Sputniko!)、Nathan Britton(White Label Space Japan, LLC、東北大学大学院工学研究科)
[talk session]イマジネーションをもみほぐす
文化庁メディア芸術祭受賞者・SHIMURABROS.を招いたトークセッション。「イマジネーションをもみほぐす」彼らの創造作法を探る。
・日時:12月17日(金)18時~20時
・出演:SHIMURABROS.
[guest live]Open Reel Ensemble LIVE in TRUNK
第13回文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞者、和田永によるスペシャルライブ。4台のオープンリールを楽器として操り自在に音を奏でる「Open Reel Ensemble」を披露。
・日時:12月18日(土)19時~20時
・出演:和田永、吉田悠、佐藤公俊、難波卓己、吉田匡
[the last massage]最後のひともみ
まんが家で映像作家のタナカカツキと写真家・池田晶紀がくり広げる予測不能のクロージングトーク。
・日時:12月23日(祝)17時~20時
・出演:タナカカツキ、池田晶紀

開催場所

TRUNK
  • TRUNK-Creative Office Sharing-
  • 2010年3月に協同組合仙台卸商センターが運営主体となって卸町地区に開設した、クリエイターを対象にしたシェア・オフィス。 旧ビジネスホテルのフロアをリノベーションし、客室だった部分をさまざまな分野のクリエイターにワーキングルームとして提供している。専任スタッフが中心となり、クリエイター同士のコラボレーション促進、産業支援機関と連携した起業家支援、クリエイターと地域企業とのネットワーク形成支援などを行うクリエイターの支援拠点でもある。
  • 常設展週末企画は、全てTRUNKで行われます
  • → Google Mapで見る

協力企画

せんだいメディアテーク開館10周年記念事業「ことばをこえて-映像の力」第3部「シアター・マッサージ」(12月18日~23日)のプログラムを協力企画として実施します。入場料は各1,000円(前売り・当日とも)。前売り券はせんだいメディアテーク1階ナディッフビスで販売。
→ http://www.smt.jp/beyond_words/part3.html

  • 18日 SEKILALA――3screen installation <映像インスタレーション>
  • 19日 Full Flat――高速・高精度3D画像センシングに基づくダイナミックプロジェクションシステム <映像インスタレーション>
  • 20日 KIKOE+DJ TRANQUILIZER <上映+ライブ>
  • 21日 私と運転席の男たち+てつがくカフェ <上映+てつがくカフェ>
  • 22日 “爆音上映”AKIRA <上映>
  • 23日 タナカカツキと池田晶紀の徹底放談――映像表現のその先へ <トーク>

実施概要

  • 主催:occur実行委員会、FesLab
  • 共催:東北経済産業局
  • 協力:文化庁メディア芸術祭、せんだいメディアテーク、SHIFT、logue、東北大学未来科学技術共同研究センター、大日本印刷、EPSON、
       仙台クリエイティブ・クラスター・コンソーシアム
  • 会期:2010 年12月10日(金)~23日(祝)
  • 会場:TRUNK -Creative Office Sharing-(仙台市若林区卸町2-15-2 5F)

摩磋 オープニングムービー(by CLOUD VILLAGE)